- Kasumi Suzuki
- 5月31日
- 読了時間: 3分
更新日:6月2日
16年前、父が一人で始めた、小さな森の美術館があります。
「美術館」と言っていいのか、山の中の300坪程の大きさですが、
そこに、私や姉の作品を飾ったのが始まりでした。
当初は、小さなポストカードの作品を飾ってました。
父はそこを、「ひろし 森の美術館」と名付けました。
少しずつ、大きめの作品も飾るようになり、
大きい作品は父の友人たちが設置を手伝ってくれたりしながら、
そんなふうに少しずつ少しずつ作ってきました。
知人が本当にたまに来ることはあるけれど、私有地なので、場所を公開してるわけでもなく、森の少し奥まった場所にあり、人が通るわけでもなく、知られることもない場所です。
それでも父は毎年春に作品を運んでは飾り、
冬の始まりに、作品を取って持ち帰る、それを繰り返してました。
それがかなりの重労働で、体力や体のことを考えて、今年からは
冬はブルーシートで作品を囲む数を増やしました。
特に彫刻作品は去年まで冬前に全作品、持ち帰ってきて春まで保管してました。絵画作品の原画も、前々から、作品が劣化しても、それはそれでいいから、冬もそのままでいいよと何度も父に言ってきましたが、それでも作品の劣化をすこしでも抑えたいと雪が積もる前に、父は何往復もしながら、森から作品を運び出してました。
作品が色褪せ、ボロボロになっても飾ろうとするので、時折私が、これはもう変えよう、そう言うまで大事に飾ろうとします。
父の森の美術館、誰に見せる訳でもないけれど、多くの人に見せる訳でもないけれど、ずっと続けてきたのは、
父が自然が、森や山が、好きだったことでもあるけれど、
きっと娘たちの作品を本当に、大事に想ってくれてるんだと思います。
家族が遊びに行くと本当に喜ぶ父は、家族の憩いの場を創りたかったのかもしれません。
私が個展が決まると、その個展の案内を必ず森にも飾りに行きます。
誰に告知してるの?と、私が笑いながら聞くと、森の動物たちに教えてるんだ、と。
何年も前、「森の美術館」の名刺を作ってあげたときに、
肩書き部分はどうする?館長にする??と聞いたところ、
真剣に悩んで、「管理人」がいい、と言いました。
美術館なんてそんな立派に呼べるものではないかもしれないけど、
父のたくさんの想いが詰まった場所です。
そんな父が続けてきた小さな森の美術館。撮影記録してもらえることになりました。今後、ゆっくりですが、YouTubeにて、
森の美術館の様子、北国の四季の移ろいの様子などをお伝えしていけます。
何度か父が言ってたのを聞いたことがあります。
「いずれ、自分の体力があるうちに、この森の美術館も片付けないといけないんだなぁ....」と。
父の森の美術館が、形あるうちにこうして映像で記録に残してもらえるのは私としてもとても嬉しいです。
そして、公開することの出来ない場所だったので、
こうして映像を通して、少しでもいろんな人に観てもらえたら嬉しいです。
北国の森の小さな美術館、四季の移ろい、私の作品、姉の作品、
ご縁あって父の森にやってきた、亡き木彫作家の小坂耀一さんの作品たち。その作品たちがある様子などを今後、記録していってくれるそうです。
(普段、この森の美術館の管理の手伝いによく来てくれる父の友人や、私もたまーーに映り込んでるかも。)
鳥のさえずりや、木々の揺れる音や、風の音、森の木漏れ陽、そして作品たち。
画面越しにですが、
時折、この小さな、父の森の美術館に遊びに来て頂けると、嬉しいです^^
