札幌も降った雪はいよいよ根雪になりそう。 個展も残り6日となりました。あっという間。

これから色々作品写真も載せていこうと思います。

この作品の横に一冊の本を置きました。本と言って2頁くらいに、この制作中の日記の様な想いを綴ったものです。

ちなみに表紙についてる植物は、冬にアトリエの横の山を散歩してる時に拾ったもの。

本の文も写真と一緒に載せておこうと思います。





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此処は、真っ白でなにもなく、 足りないものもなにもない。

一年の終わりに降り注ぎ地を覆うこの白は まるでなにかを浄化しにきてくれてるかのようだ。

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もう十年以上前になる。 友人が教えてくれた、あるラジオの話しだ。

昔、St.GIGA -セント・ギガ という世界初の衛星ラジオ放送があったのだと。 友人が言うには、その番組は自然のリズムである潮の満ち干と月の満ち欠けに合わせて組まれ、二十四時間、音楽と〝音〟を流し続けたそうだ。 波の音や川の音、海の音、風の音、 そんな自然音と音楽を流し続けていたのだ、と。 そしてごくたまに

" I'm here. I'm glad you're there. We are St.Giga."

と、この言葉が流れてきたそうだ。

これはカート・ヴォネガットの小説「タイタンの妖女」に出てくる一節だ。

" I'm here. I'm glad you're there."

「ワタシハ ココニイルヨ」

「アナタガ ソコニイテ ヨカッタ」

なぜかは分からないが、 この作品の風景が見えた時に同時にこの言葉が入り込んできた。 そして制作中、この言葉がずっと離れなかった。

白い景色に溶け込みそうになりながら、まるで白く吐かれた息のように今にも消えそうな雰囲気を纏う、 一頭の白い箆鹿がそう言っていた。 それともこの白樺の白景色が、空から舞う雪が、彼に語りかけていたのか。 それとも、もっと遠くに、でも近くにいるものが 彼に言ってたのだろうか。

でもずっとこの言葉が私の隣に居た。 だから、とにかく、私もこの作品の制作中、 ずっとこの絵に語りかけ落としこもうとしていた。この言葉を。 窓の外には、今年も雪が降り出した。雪と共にこの言葉を絵に落とし込めていたらと願う。

" I'm here. I'm glad you're there."